006_佐竹の家 

佐竹の家

BK003「五辻の家(Vostok)」にほど近い、西陣エリアにある2階建の物件を住居兼スタジオに改装。大家さんは明治7年創業の西陣の織元であり、かつては織機の音が町中に響くエリアに明治期に建てられた築100年以上の町家だ。

入居アーティストは、偶然にも若い染織作家とそのパートナーとなった。彼女の制作のテーマは、「記憶に残る風景、色、草木を裂として残せるように。誰かにとって、心の拠り所となる着物を織っていきたいと願います」というもの。昔からあった上げ床はそのまま残して手織りの織機が入るスタジオとし、かつての生活の名残であるかまどをはじめ建具や設えも転用や修繕を行い、建てられた本来の姿に寄せる改修をおこなった。また、糸を草木染めするための水場、生活に必要となる水周りの整備も並行しておこなった。

今回入居する染織作家は、機織りをする音を出しても大丈夫な物件を探しており、ここ西陣では全盛期には早朝から休みの日にも織機の音が響くことが通常であったため、まちの方々が機の音に対して親近感を持っている。大家さんをはじめ昔ながらの機織りの音が消えゆくことを残念に思う地域の方々からはこの若い染織作家の入居を歓迎する声も聞こえている。

この物件に入居するアーティスト
吉田未央(染織作家)

名称:佐竹の家
住所:京都市上京区
構造:木造二階建
面積:約58.5m2
用途:住居兼スタジオ
設計・施工:TANK + 京都造形芸術大学 URLTRA FACTORY (kumagusukuプロジェクト)
写真:OMOTE Nobutada